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SpirE-Journal 2014 Q3

India: Are Indian consumers living the ‘luxe’ life?

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インド インドの消費者は 「リュクス」な生活をしている?

あなたがもし、Gucciのバッグが大好きでJimmy Chooの赤いシューズに目がないインド人だとしたらどうするだろう?このような高級ブランドは、今ではインド国内でも入手でき、わざわざ海外に旅行する必要はない。中国や 日本におけるぜいたく品への支出がペースを落としている現在、大手ブランドはインドの高級品市場に目を向けている。インドの高級品市場は、2013年も引き続き30%の伸びを見せ、85億米ドルの規模に達した。この市場は、2016年までに、140億米ドル規模になると予測されている 。この傾向は 単なるブームなのだろうか?それとも、高級品部門は、今後も拡大し続けるのであろうか?

インドは 高級品の次の中心地?
インドの高級品市場は、世界の高級品市場の1%近くを占めるまでに成長してきている。

インドの高級品市場は、その存在感を高めている。ある報告書によれば、その市場価値は2012年には76億米ドルであったとされる 。この数値は、187億米ドルであったとされる中国(別の出典による)、そして1.1兆米ドルであったとされる世界の高級品・サービス市場と対比をなしている 。つまり、インドの高級品市場は、世界の高級品市場の1%近くを占めるまでに成長してきているのである。

現在、中国と日本では高級品の売上が落ちている。中国における経済成長の鈍化(前年は10%であったが、現在はほぼ7%)と、公務員の汚職に対する習近平国家主席の非常に厳しい取り締まりは、中国の高級品市場に重くのしかかっている。 日本では、2014年の消費税率引き上げ前の駆け込み消費による売上上昇後、高級品の売上は停滞している。このような状況の中、インドの高級品市場の可能性にさらに目が向けられることとなったのだ。

インドにおける高級品は、伝統的にマハラジャ王室と関係してきた。ハイデラーバードのニザームであろうと、ラジャスタンのラジプットであろうと、高級品は 上流階級のものであった。このような貴族の贅沢なライフスタイルは、富だけでなく高級品志向も受け継いだ特権階級だけのものであったのである 。

インドにおける高級品は、投資や、将来起こりうる経済、金融、通貨などの危機に対する保険としても考えられている。

インドにおける高級品への需要は文化的なルーツを持ち、個人の装飾というインドの伝統的な慣習と結びついて、豪華なアクセサリー、宝石、時計、デザイナーによる服や靴への需要を押し上げている。さらに、インドにおける高級品は、投資や将来起こりうる経済、金融、通貨などの危機に対する保険としても考えられている。加えて、若者層や急成長している中流階級、そしてあなた自身が、成長のための完璧なレシピなのだ 。

インドにあるもの

調査事例によると、インドでは、上・中流階級や可処分所得が増えた人々の間で高級ブランド、特にFendi、Burberry、Bottega Veneta、Paul Smith、Jimmy Choo、Louis Vuitton、Roberto Cavalliの人気が高まっている。今日、インドにおける高級品の消費者は、自分の価値を高めるため、新しい高級ブランドや高級品に以前にもましてオープンになっている 。

言うまでもなく、インドが世界の高級ブランドを受け入れるようになってからすでに久しい。その要因として、以下のような点が挙げられる。

潜在的顧客ベースの拡大

インド経済は、中国に次いで世界で2番目に急成長を遂げている。インドの 億万長者の数も増大しており、フォーブスの2013年版「Billionaires List(長者番付)」に55名がランクインしている。これは、世界の億万長者の資産全体の1,940億米ドルを占めている 。この流れは、「クローゼットカスタマー」と呼ばれ、従来の富裕層に加わって高級品の売上増大に貢献している、価格に 敏感で高い価値を求める新しい豊かな消費者層によって押し上げられている 。もちろんこれらすべての背景には、収入レベルの上昇や野心の高まりもある 。

他の販売チャンネルとしてのインターネット販売

インドにおけるインターネット販売は急速に拡大しており、国際的な高級ブランドのオーナーは、ブランド認知度を高めるためにこのチャネルに注目し始めている。また、企業運営コストや賃料の上昇する中、高い自己資本を持つ人々に対応する熟練した労働者も緊急に必要になっており、高級品ブランドのオーナーがインターネット販売サービスを活用する傾向に拍車をかけている。このチャネルで、割引などの販促活動を、登録したオンライン顧客のみに提供することができる 。

高級サービスの入手可能性

贅沢な5つ星ホテルで小規模な個人販売店を探すというこれまでの伝統は、今では時代遅れになっているようだ。新たな高級品販売店は、主要都市のあちこちに見られるようになった。例えばLouis Vuittonは、2003年にニューデリーのOberoiホテルに旗艦店を開店して以来、5つの新店舗をオープンしている 。スイスの大手小売店、Richemontは、ブランド1つのみを扱う小売店を複数作るため、インドに2,500万米ドルを投資する計画である 。

海外へ行くよりインドを好む買い物客たち

世界の高級品市場におけるインドのシェアはまだ1%程度にすぎないが、多くの高級ブランドが小売店をオープンしようと目を光らせている。価格だけでなくブランドにも意識の高い顧客の需要が拡大している状況に後押しされ、高級ブランドは、5つ星ホテルという繭の中から大きなショッピングモールに移動を続けている。インドの高級品販売店のパイオニアであるGenesis Luxuryなどの企業が、Jimmy Choo、Burberry、Bottega Venetaのようなブランドをインドに紹介してきた。Genesis Luxuryは、2013年後半までに、5都市1447店舗で14の高級品ブランドを販売している 。

有望な高級品製造ハブ

インドにおける高級品の製造は、2012年には5億米ドル相当であった が、Louis Vuittonのような世界的な高級ブランドの多くが、インドに製造施設を 作り、インド市場への供給コストを管理し始めるようになっている 。

チャンスはどこにあるか?

インド高級市場の成長は初期段階であるが、高資産世帯(high-net worth household:HNH)の顧客ベースの拡大が同市場を後押ししている。2017~2018年に27%の複合年間成長率(CAGR)が期待される中 、有望部門はどこだろう?

衣料と装飾品

インド政府の外国直接投資(FDI)政策が2012年8月に導入され、インドにおける多くの海外マルチブランド小売業者から歓迎された。この政策により、スーパーやデパートでは49%のFDI、単一ブランド小売では100%のFDIが許可されるようになった。今後、Modi首相の新政権下でさらに自由化に進むかどうかは、現時点ではまだ不明である。

例えば、米国の高級品小売業者Saks Fifth Avenueは、FDIに対する政府方針が変わってから2014年にインド市場に参入した。インド市場ではこの他にも、フランスのGaleries Lafayette、ロンドンに拠点を置くHarvey Nichols、米国に拠点を置く高級品小売業者Bergdorf Goodmanなどのプレーヤーが競合している。

香水

インドでは、香水市場も高い潜在性を持っている。その好例が有名ブランドTitanであろう。Titanは、時計、宝石、メガネなどの製品も提供している。Titanは、インドの高級香水市場に2013年に進出した。同社では、都市部の顧客を引き付けられるよう、香水の新たな製品レンジの価格を、大量生産ブランドと高級ブランドの間の競争力のあるものに設定した 。Associated Chambers of Commerce and Industry of India(インド商工会議所連合:Assocham)によると、香水産業は、年間CAGR 40%で拡大すると見込まれている 。

高級レストラン

2013年の報告書では、インドの食料品サービス産業は、2013年から2018年にかけて成長率11%での拡大すると予測されている 。Indian Accent、Varg、Dum Puktなどのような、上流階級向けの高級料理を提供するレストランが 増加している 。高級品におけるグローバルトレンドとして、消費者は嗜好が成熟し、物理的な製品よりも独自の体験を好むようになっている。このことはインドの高級レストランの今後を左右する。

自動車

2014年、インドは、世界の乗用車市場トップ10の中で、7位にランクされている。インドの高級自動車市場は、今後5~6年以内に成長率20%で拡大すると予測される 。

不動産

2014年に行われた調査によると、富裕なインド人は投資額の44%を不動産部門に投資している(世界平均は24%)。また、大都市では、家を購入する傾向がある。インドは、豪華な住居への関心が高い上位10カ国に入っていると考えられている 。

インドの課題

インドの高級品市場は有望に見えるものの、そのリスク評価も必要である。

インフラの不足

海外高級ブランドのインドへの進出を阻む主な要素の1つがインフラである。インドにおける高級ブランドは、通常、ショッピングモール、目抜き通り、厳選された5つ星ホテルに限定されている。目抜き通りに店舗を開く小売店には、賃貸費用がかかる。さらにそのような目抜き通りの多くは雑然としており、 小売店が特別な雰囲気を創り出すことを阻んでいる。空港のような専門高級 小売店エリアは変わりつつあるものの、まだ数が非常に少ない。

大都市への限定

高級品販売店は、良質な空間に加え、顧客の需要と購買力が高い場所に店舗を構える必要がある 。そのため、ほとんどの高級ブランドの店舗は大都市に限定されている。高資産の人々が最低必要人数いる都市は、インドにはまだ数えるほどしかない。このような人々は、100万米ドルを超える投資可能な資産を保有し、個人のニーズやプレゼントのために頻繁に高級品を利用する 。ただし大都市の小売店は、近隣の小さな街に住む高資産の人々の一部を惹きつける役割も果たしている。

税金

インドにおける高級品は、2012年の時点でブラジル、中国、ロンドンよりまだ20~25%高い価格となっている。

高級品小売業者にとってのもうひとつの障害は、高い輸入税(20~150%)である。2012年8月、インド政府は単一ブランドの小売に対して、100%のFDIポリシーを導入したが、高級品への税金は依然として高い。実際に、インドにおける高級品は、2012年の時点でブラジル、中国、ロンドンよりまだ20~25%高い価格となっている。

偽造品

2013年の調査によると、インドにおける偽造高級品市場は40~50%のCAGRで成長している。さらに、オンライン高級品市場もCAGR 20%で拡大している。インドにおけるEコマースの興隆は、消費者に偽造品を売り込みむ新しい強力なチャネルを偽造品者に提供している 。

訓練されたスタッフの不足

高級品産業における熟練労働者の不足は、インドの高級小売業者の間でも広く認識されている問題である。高級ブランドは、消費者に「ストーリーを売り」、設定された高い価格を正当化するスタッフの能力に左右される。「ストーリー」とは、そのブランドの背景にある理念、人々、伝統、品質、他と異なる特徴を説明するものである。このような知識とスキルを習得できる販売員の不足が、大きな足かせとなっている。インドで展開している一部のブランドは、ブランドの伝統と財産を理解せず、製造工程で特別な仕上げを行えない製造スタッフによる問題に直面していると言われる 。しかし、熟練労働者の不足がもっとも感じられるのは、販売であろう 。

今後の展望

インドの高級品市場は、拡大に向けて態勢を整えている。経済が成長し、中流階級が旅なれて洗練されるとともに、高級品への需要はさらに高まるであろう。さらに、何世紀にもわたって金の販売を活発に行い、銀行に貯蓄するより貴重品に投資してきたインド人の傾向は、高級品市場の確かな成長基盤となる。

衣料、装飾品、香水、高級レストラン、自動車、不動産など、インドで成長見込みのある様々な産業に、世界の高級ブランドは投資してきた。

高級品産業は、本質的に不平等であることから、道徳に反すると考える人々も多数いる。そこには真実の側面もある。

しかし高級品産業は、不平等の結果であって原因ではないということも認められるべきであろう。さらに、高級品やサービスは、富裕層から雇用創出へ資本の流れを作り出すと同時に、有益な経済増強ツールでもある。高級品産業における仕事は 賃金もよく、優れたスキルの継承も可能にする。また、価格で競争する大量生産 市場の大型小売業者と反対に、高級ブランドは、その高い利益率により環境面での持続可能性や公正な取引慣行に大きな注意を払うこともできる。

買い物客が、ロンドン、パリ、ニューヨーク、香港、シンガポールではなくインド国内で高級品を購入すればインド経済は利益を得るということは、想像に難くない。

インドの産業と政府のステークホルダーがこのような経済上のメリットを得るためには、高級品小売業者が場所、税金、熟練労働者、偽造品対策といった現在の障害を克服できるように、高級品小売業者を支援しなくてはならない。

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