SPIRE SIGN IN Register

SpirE-Journal 2014 Q3

(English) India’s new CSR law – Will mandating corporate charity work?

Reader's Ratings:

インドの新CSR法 – 企業に対する慈善行為の義務化は成功するか

インド政府は、今年初頭の2013年会社法 制定とともに、適格なインドの企業に対して「CSRを自発的な活動から強制的責任にする」ことを求め、1つの歴史を刻んだ。この新しい法律は、経済的競争優位を妨げることなく、非営利部門の増進に成功するであろうか。そして、今後、世界が従うべき例となるのであろうか。

インドにおけるCSR

企業の社会的責任(CSR)という用語は、1970年代初頭から一般的に使用されるようになった。20世紀には、グローバルなCSRの焦点は、伝統的な博愛(寄付行為)から、企業によるもっと直接的で持続的な関与(広範な干渉と原因固有の干渉の両方)にシフトしていった 。

インドでは、CSRはこれまで、熟慮して行うものではなく、形式的に行われてきた。インドのCSRは博愛という枠組みの中にあるが、その焦点は制度づくり(教育、研究および文化的制度)にシフトし、測定可能な方法で地域福祉を向上させることを目的としている 。

Iインドでも他の国々と同様に、すべての大手企業の運営においてCSRは必須となった。CSRの支持者は、CSRを採用することによって企業は長期的な利益を増大させられると主張するのに対し、批判者は、個人に委ねるのが最良である事柄を事業に発展させることによって、CSRは、企業の経済的役割から企業の目をそらすものであると批判する。にもかかわらず、今日の世界におけるCSRの重要性は否定できない 。

インドの新しい2013年会社法

インド企業問題研究所(IICA)によれば、少なくとも6,000のインド企業が、2013年会社法の規定に準拠するにはCSRプロジェクトを実施することが求められるとされる。さらに、一部の見積もりによれば、新しい法律の下における企業のCSRへの責任義務は150億ルピー(25億ドル)にもなる可能性があるとされる 。

新しい法律の下における企業のCSRへの責任義務は150億ルピー(約25億ドル)にもなる可能性がある。

新しい法律が政府により最近導入され、2014年4月1日に発効した 。この法律は、インド国内の民間および公共両方の有限企業に対してCSRを必須の義務として課すものである。

新しい法律が政府により最近導入され、2014年4月1日に発効した 。この法律は、インド国内の民間および公共両方の有限企業に対してCSRを必須の義務として課すものである。

50億ルピーの純価値、100億ルピーの売上高、または5,000万ルピーの純資産の企業は、過去3年間の平均純益の少なくとも2%をCSR活動に支出することが求められている。これに従わない場合は、同金額を支出しない理由を重役会の年次報告書の中に記載しなくてはならない 。
この法律が適用される企業は、少なくとも3名の理事からなるCSR委員会を保持しなくてはならない。この委員会は、正式なCSR方針を策定し、CSR活動を維持する必要がある。さらに、委員会は詳細な報告書を政府に提出しなくてはならない。この報告書には、当該企業のCSR方針、CSR委員会の仕事、CSRに支出した金額、そして具体的なCSRプロジェクトについて記載する。
どのような違いをもたらすのか

2014年4月に発効した新しい法律は、インドの企業にどのような影響を与えるであろうか。

社会部門でのキャリア・チャンス

企業がCSR活動を真剣に拡大開始する場合、社会部門におけるそれらの企業のキャリア・チャンスも確実に増加する。その程度は、企業がCSRをどのように扱うか、すなわち、専門のスタッフのいる中心的機能とするか、あるいは継ぎ足しの追加的役割しかもたない小さな機能とするかによって異なるであろう 。

これを考慮して、ニューデリーの企業の持続可能性経営研究所(Institute of Corporate Sustainability Management:ICSM)は、2014年4月にマイソール大学と、CSR専門のMBAを開始する覚書(MOU)に署名した

CSR法への基準を高く設定

この法律は、CSR法を導入した最初の国として、インドは国際レベルでこの態勢が整った。欧州連合(EU)も、企業に対し、CSRの支出について公開および報告することを求める同様の法律を検討中である 。 “]

インドは今では一部の企業に対してCSRを義務化した最初の国となった。EUは同様の法律を検討中である。
新しい法律の課題

新しいCSRガイドラインは、大企業に対して純利益の2%を社会開発に支出することを求めているが、実施上の問題があり、詳細な調査が必要である。

強制的な慈善活動

2%というルールは強制的な慈善活動ともいえそうな、「チェックボックス」的な行動となる可能性がある。または、法を回避するために資金を「往復」させるような腐敗にもつながる場合がある。ほとんどの企業は、CSRに対する2%の支出は大きな額であると感じている。中小企業(SME)にいたっては、収益面で危機感を感じるであろう。国家の経済的競争優位にも影響がある。たとえば、インドのインフラストラクチャの構築するために必要な国内外の投資の呼び込みへの影響である 。

税控除なし

企業は税控除を期待していたが、2014年の予算発表では税控除がないことが伝えられ、企業は肩を落とした。税控除は、いくつかの独立した活動に対しては期待されていた 。

マルチレイヤーの投資

インドの企業は、多くの場合投資会社または関連会社をつくり、株式や証券の取得を支援する。新しい法律は、2層以上の関連会社を通じて投資を行うことを制限している。れにより、最終的には未公開株式のプレーヤーがインフラなどの部門への投資ができないようにする。この場合、このような構造が一般的である。

独立取締役

独立取締役の在職期間は、現在では2期連続とされており、ストック・オプションの発行と在職料金に制限が課されている。これは、理事会の空いている席を埋めるような、資格のある専門家を探し出すのがさらに難しくなるであろう。”]

監査役の交代

現在、監査役は、個人の場合は最長5年連続、法人の場合は最長10年連続で企業の口座を処理できる。この要件により、中断の発生が予測される。大規模な顧客に対応する企業は数が限られており、予期しなかった潜在的な結果により、大手の監査会社を拡大する可能性があるためである。

今後の展望

今日、インドにおけるCSRは、慈善や寄付といった枠を超え、明確な焦点を持つ持続的で構造化されたプログラムが基準となる、新しい時代に入った。今日のCSRにおける基本的な目的は、社会とステークホルダーに対する企業の総合的な影響を最大化することである 。CSR法に対応するために、明らかになると考えられるいくつかの主要な動向は、次のとおりである。

CSRにおけるソーシャル・メディアの役割の拡大

インドは、Facebookユーザーの数では、世界でも第2位である。これは、Facebookをプラットフォームとした、CSR活動への従業員と消費者の関与の拡大を可能にした。CSR法はこのような動向を加速するであろう。組織は、集団での思考と協力の力を活用するためには、この媒体を使用することを恐れていない。

非政府組織(NGO)の数の増加

CSRガイドラインの規定は、企業はCSR活動を、同様の活動で少なくとも3年の実績を持つ非営利団体を通じてまたは独立した(登録されている)NGOとともに、独自に実施することができるとしている。これにより、CSR活動を行えるNGOの数が予想外にも急激に増加することとなった。2014年2月現在、インドで活動しているNGOの数は、約2百万である 。この数は、劇的に伸びることが予想される。

内部の社会活動家の増加

2013年のNASSCOMの報告書によると、企業が行なっている活動の社会的影響について、従業員の間の認識が高まっているようである。企業は、これを利用するために、プログラムを開発している。たとえば、インドのボーダフォンは、「差のある世界(World of Difference)」と呼ばれるプログラムを行っている。このプログラムでは、すべての従業員が5週間、国内の各地でNGO(当該企業を支援するもの)と共に過ごす。

良い変化か、悪い変化か

インドは、タイ企業に対してCSRの取り組みに最小限2%支出することを義務付けた、世界で最初の国となった。この重大な決定がどのように反映されるかは、今後数年間のインドにおけるCSRの状況に見ることができるであろう。

T新しい法律は、CSR部門を確実に刺激するものであり、収入の増大と仕事の増加、そして社会的影響の拡大をもたらすであろう。また、世界の他の国々がある程度後に続くような基準を設定する可能性もある。収入の増加と富の不平等に対する国際社会の懸念は、巨大企業に対してもっと責任をもって行動するようにとの抗議の声につながっている。

しかしながら、負の側面はさらに微妙である。新しい法律は企業の収益を2%まで下げることになる。ただし、この法律の影響を受ける企業のほとんどは、同法の発効前にCSRのためにすでにいくらかの支出をしているため、現実ではそれより少ないが。にもかかわらず、小さな影響でも重要である。これは、経済的競争優位にダメージを与える可能性があり、国内外からのドル投資は海外に向かってしまうことも考えられる。しかしながら、特に中国における低迷と中国関連の地政学的な緊張といった状況の中、インド市場の巨大さと魅力を考えると、このリスクはそれほど大きくはないのかもしれない。

別の危機は、企業が偽装したり、通常の事業支出を「往復」させたり、または株主や従業員にCSR支出として報酬を払ったりすることで、CSR法に対応することである。ただし、この規制は、非常に大きな企業にのみ適用されるものであり、ほとんどが大規模で評判の高い監査法人によって監査される。そのため、このリスクもおそらくは抑えられるであろう。

しかし、また別の危機は、この法律がCSRに対する純粋な考えを、一撃で破壊してしまうことである。CSRが、選択による事柄ではなく、法的なコンプライアンスに関する事柄になった場合、これは、CSRを促す価値や文化の形成を妨げないだろうか。これは、CSR部門に汚名を着せることにならないであろうか

CSRが、選択による事柄ではなく、法的なコンプライアンスに関する事柄になった場合、これは、CSRを促す価値や文化の形成を妨げないだろうか。

最後の制約は、利益がほとんど得られないことである。支出が30億ドル以上に増加したとしても、複数の社会的・経済的課題を抱えているインドのような大国では、この法律の影響は限られたものになるであろう。インドでは、たとえば、清潔なトイレを使用 できるのは、わずか6億人(人口の36%)である。しかしこれもまた、CSR法が目指している小さな善行に反対するような議論ではない。

最後の分析として、インドの規制者は、大胆な実験のために、消極的な道筋を回避したことを讃えられるべきであろう。長期的な効果がどのようなものであれ、インドのCSR法は、国際社会における企業戦略の議論において、CSRの重要性を高めるであろう。そして、世界中のビジネス・スクールの教室に響き渡るであろう。また、政策立案者と開発経済学者にとっては、今後数年間、利益の源になるであろう。

Back to Top

Back to Home
BTBTBTBTBTBT