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SpirE-Journal 2014 Q1

サイドクリック:監視カメラで上客を識別?

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サイドクリック:監視カメラで上客を識別?

購買力の高いVIP客に適切に対応できるかどうかは、小売店の成功を左右する。しかし、店頭のスタッフがこうした客の来店にすぐには気づけないことも多い。顔認識テクノロジーを応用すれば、こうした損失を防ぐことができるが、そこにはプライバシー侵害への懸念もある。

小売店の収益に大きく貢献する高額消費客。事業者にとって、このような上客が来店した瞬間からきめ細かいサービスを提供できる体制作りは重要な課題になっている。2012年、女優のケイティ・ホームズは10万ドルを費やしてワードローブを一新し、このうち14,200ドルは下着類につぎ込んだと報じられている 。

このような背景から、個人を識別するためのテクノロジーが注目され始めている。日本のNECは、顔認識システムを応用した個人識別アプリケーションを開発した。顔の各部分の特徴をデータベースと照合し、一致するデータが見つかると情報を表示する仕組みである。当初このアプリケーションはテロリストや犯罪者の識別を想定して開発されていたが 、その後、小売分野にも応用されることとなった。

店内に設置された監視カメラの映像を使用して来店客の顔の特徴をデータベースと照合するシステムで、変装していても識別が可能である 。

来店者がVIPと特定されると、店舗のコンピューターやノートPC、タブレット、スマートフォンなどで店頭スタッフに情報が通知される 。

システムには、特定された顧客の氏名をはじめ、服のサイズ、これまでの購入歴などの情報を表示する機能もあり、店員はこれらを参考に、個々の客に最適な商品を提案することができる。

また、世界全体の姉妹店間で情報を共有し、世界中どこでも一貫したきめ細かい接遇を提供することも可能となる。

しかし、このようなテクノロジーにはメリットと同時に問題もある。

プライバシーの侵害

顔認識ソフトウェアの実用化には、個人情報保護を訴える団体などからたびたび反対の声が上がっている。米国の高級デパート、ノードストロームは、来店客のスマートフォンが受発信するWiFi信号から購買傾向に関する情報を収集しようとして、個人情報保護に反するとの批判を受けた。「WiFiデータの分析は顧客サービスを充実させるためのもの」と同社は説明したが、プライバシー侵害との批判を受けて停止に踏み切った 。

顧客サービスの格差

テクノロジーを活用して上客のショッピング体験をよりよいものにしようと店側が努力すればするほど、それ以外の買い物客との間でサービスに格差が生まれる懸念もある。VIP客以外へのサービスであからさまに手を抜くようなことがあれば、最悪の場合ブランドへの評判を損なうリスクも考えられる。

今後の展開

顔認識テクノロジーは発達しても、社会の体制はいまのところそれに追い付いていない状況である。

プライバシーは21世紀における重大な人権問題となる可能性を持っている。告知も同意もないまま小売店に足を踏み入れると同時に個人を識別されたりプロファイリングされたりすることを、消費者は快く思っていないのが現状である。

来店客のモバイルデバイスに承認画面を表示して、顔認識によるサービスの提供に同意してもらうといった方策も考えられるが、顔認識テクノロジーが買い物文化の一部として広く社会に受け入れられるようになるまでには、依然として時間がかかりそうである。

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