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SpirE-Journal 2014 Q1

そのブランド、本当に認知されている?情報過多時代のブランド認知策

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そのブランド、本当に認知されている?

自社ブランドの存在が誰にも目を留められることなく忘れられていく ― マーケティング担当者にとって、あってはならないことだろう 。だが、現在のようにメディアが多様化し、老舗大手ブランドや無数の新規ブランドがひしめきあう状況で、ブランドが確実に認知されるための条件とは何だろうか。また、認知度はブランドの成功にどれほどの重要性を持っているのだろうか。

ブランド認知は購買意思の決定に関わる最も重要な要素の一つとされているが、単に記憶されるだけではブランド力があるとは言いがたい。広告とブランドの結びつきを強く印象づけることで、商品カテゴリー全体ではなく自社のブランドを消費者に明確に意識させることが必要である 。

ブランド認知度の重要性

ブランド認知度は、どの程度その製品が知られているかを示す指標であり、単にそのブランド名を知っているかではなく、ブランド名と提示するメッセージが意識の中で結びついていることが必要である。

たとえば、ディズニーのブランドは、「楽しさ」「家族向けエンターテインメント」というコンセプト、ナイキは「純粋な運動パフォーマンスの追求」、スターバックスは「豊かな日々の時間」といったイメージとそれぞれ結びついている。

高い認知度を誇るシンガポール航空の「シンガポールガール」も、サービスの質と手厚いもてなしを重視するブランドコンセプトの象徴として、1972年の誕生以来、「Singapore Airlines – A Great Way to Fly」のキャッチコピーとともに新聞雑誌の広告やTVコマーシャルに登場している。1994年には、ロンドンの「マダム・タッソーろう人形館」の展示に商業系のキャラクターとして初めて登場して話題となった 。 

ブランド認知度:複数の尺度

ブランド認知度は、製品カテゴリーの中でそのブランドがどれだけ消費者に覚えられているかを示している。認知度があるといっても、「これ以外の競合ブランドは消費者の目に止まりにくい」ということを意味しているに過ぎず、それだけでは十分でない。

マーケティング分野ではブランド認知を次のような複数の尺度で評価している。

自発的ブランド認知

ノーヒントのブランド認知度、すなわち商品カテゴリーの種類を見ただけで消費者がそのブランド名を挙げることができるかどうかを表す。

トップオブマインドブランド認知

消費者がそのブランド名をすぐに挙げて詳しい特徴まで言えるかどうかを表す。トップオブマインドの認知を獲得したブランドは、消費者からの思い入れも強い傾向がある 。

他律的ブランド認知

他律的という言葉の通り、あらかじめ用意されたリストの中から消費者がそのブランドを認識できるかどうかを表す。ブランド認知度としては弱く、消費者にとって「その名前を見た(聞いた)ことがある」程度の、思い入れが少ないブランドであることが多い 。

ブランド認知のメリット

消費者が購入する商品を決定する場面では、価格などの条件に差がない場合は、その消費者がよく知っているブランドの製品が選ばれやすい 。ブランドがポジティブな印象とともに認知されることは、明らかなメリットになる。

ポジティブなブランド認知は購買意思の主な決定要因となる。
競合との間に決定的な差がない場合、ポジティブなブランド認知はブランドや製品に対する消費者の親近感を育てやすい。
ポジティブなブランド認知に高い顧客満足が加わることが顧客ロイヤリティにつながる
ブランド認知度を高めるチャネル

ブランド認知度は、いくつかの重要なエレメントに着目することで高められる。

ロゴ

マーケティング分野では最近、Instagramなどの画像に特化したプラットフォーム向けにカスタマイズしたコンテンツが注目されている。これは、若年層をターゲットとするブランド戦略に特に有効である。

米国の大手服飾チェーンGap社は、2013年12月にInstagram Directと呼ばれる新機能を利用したマーケティングキャンペーンで世界的注目を集めた。これは、「Gap Instagram」のページで最初にコメントを投稿した15人をMacBook用のデニムケースが当たるコンテストに招待するというシンプルな企画である 。

Instagramなどの画像プラットフォームは、若年層をターゲットとするブランド戦略に特に有効である。

音楽

音楽には知覚、行動、記憶を活性化させる強い力があることが、さまざまな研究で裏付けられている。店内に流れるBGMの種類が買い物をする消費者の気分に大きく影響するという研究結果も報告されている。適切な選曲は、ブランドに対する顧客の印象を高めて親近感を演出することにつながる 。

TVやラジオの広告でも、ジングル(CM音楽)が広く使われている。短く、キャッチーなスローガンと組み合わられることも多いジングルは、マクドナルド社の「I’m Lovin’ It」キャンペーンCMでも大当たりし、同社最長のヒットシリーズとなることに貢献した 。2008年のキャンペーン開始以来、マクドナルド社の株価は80%上昇し(2008年4月~2013年4月)、20%の増益が記録された 。

TVやラジオの広告でも、ジングル(CM音楽)が広く使われている。

タイプイン広告

見たいコンテンツをリクエストする消費者に何らかの情報をキー入力してもらうタイプの広告で、短いブランドメッセージを入力してもらうなど、簡単にカスタマイズできる。広く利用されているCAPTCHA(キャプチャ)画像や動画サイトのプレロール広告に代わるブランド認知策として注目されている。

モバイル広告やオンラインメディアという成長中のプラットフォームへの親和性が高いこともタイプイン広告のメリットである。2011年の調査では、タイプイン広告を使うことでブランドの認知度が65%、メッセージの認知度が35%も上昇している。静的広告と比較した効果はブランド認知度で2倍、メッセージ認知度で12倍に相当する 。

オンライン音楽サービスのSongza、ユニリーバ社は、ソルブメディア社のタイプイン広告をモバイル向けに展開した。タブレットやスマートフォンから広告のブランドに関する簡単な問題に答えると、キャンペーン用コンテンツにアクセスできる仕組みである 。

ソーシャルメディア

安価なコストで顧客とつながり、膨大な費用をかけた広告キャンペーンを行う前にコンセプトをテストすることもできる効果的なチャネルとしてマーケティング関係者に注目されているのが、ソーシャルメディアである。ブランドへの信頼を培う目的にも使われている。

ソーシャルメディアを戦略的に活用すれば、ブランドへの好感度を高めることができる。顧客の関心を惹きつけながら、さりげないマーケティングメッセージを発信することで、消費者の購買意思に影響を及ぼすこともできるとされている 。

韓国のLGモバイル社は2-12年6月、スマートフォン「Lシリーズ」の販売促進のため、#LGTicketHunterのハッシュタグを使ったTwitterキャンペーンを行った。その結果、ユーザーはこのハッシュタグを使って総計50,000のツイートを発信、16歳から24歳までの消費者に対するスマートフォン売上が4倍に跳ね上がった 。

チョコレート・ブランドのキャドバリーは、2012年に発売した「デイリー・ミルク・バブリー」の告知にGoogle+のサークルを利用した。さらにFacebookでも、製品発表直後(2012年1月)に516の「いいね!」と181のコメントを集めた。これらのユーザーが生成するニュースフィードを通じ、多くのユーザーがキャドバリーの情報を目にしたことになる 。

動画レコメンデーション

さまざまな調査により、レコメンデーション(おすすめ)のついたプロモーション動画には消費者の関心とブランド認知度を高める効果があることがわかっている。オンラインコンテンツは、ソーシャルメディアのニュースフィード、ブログ、動画などの形で拡散されるが、つながりのある他ユーザー、ニュースソース、コンテンツに関連するブログなどからレコメンデーションがついていると 、ネット上でランダムに出会うその他の動画よりもユーザーに「おもしろい」と感じてもらいやすいことがデータから明らかになった。

2013年に米国の18歳から34歳を対象に実施されたアンケート調査では、ギネス、コカコーラ、コルネット(ユニリーバ傘下のアイスクリームブランド)、エナジャイザー・バッテリーの4ブランドのキャンペーン動画についての印象が質問された。その結果、動画がソーシャルメディアでレコメンドされた場合、「おもしろい」とする回答がそうでない場合よりも有意に高かった。また、「ネット上で普通に出会う動画よりもおすすめになっている動画を見ることが多い」という回答も全体の14%に上った 。

今後の展望

ブランド認知度は、これからも商品の成功と存続に不可欠の要素といえる。半世紀にわたって続いているCM音楽(ジングル)のような戦術は今後も生き残っていくが、消費者の関心や信頼を高める上で、インタラクティブ性やレコメンデーションが果たす役割も大きくなっていくと思われる。

21世紀のマーケティングには、音楽、ソーシャルメディア、動画、レコメンデーションを効果的に組み合わせた活動が必要となる。さらにその先に広がっているのは、これらをモバイルデバイスやウェアラブルテクノロジーといった複数のネットワークで効果的に展開していく未来のフロンティアである 。

 

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